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町の中でどこからともなく謡(うたい)の声が聞こえてくることがあります。大きく力のこもった声は心揺さぶるものがあって、「謡曲をたしなむことができたら……」と思う方も多いのではないでしょうか。
「謡曲はテキストが読みにくく一般的には難しいと思われているようですが、始めてみると昔の物語の面白さを知ることになり、だんだんと興味がわいてきますよ」と、謡曲(観世流)の先生がおっしゃいます。 謡曲というのは、能の謡のこと。能を見て謡を覚える人もいるのだそうです。「昔の人物、人の表情、生活の状態などが謡曲には表現されています。物語を知るほどに味が出てきますし、昔の生活に思いをはせて謡っているうちに情がわいてきます。ああ、昔の人の生活はこんなに厳しかったのかって」。物語の内容を理解し、声に出して謡うと、そのときどきの光景が目に浮かび、感じることができるのだといいます。
役や文句によって声色を変えて謡いますが、その変化も楽しみの一つだとか。 「お役を決めて謡うのは、緊張して練習にもプレッシャーを感じますが、またそれが醍醐味なんでしょうね」
また「謡曲を覚え始めると、得意な曲、不得意な曲が出てくるようです。私は言葉がきれいに感じるものが好きなのですが、それをそらんじて暗い夜道で謡うのが楽しみなんですよ」とおっしゃる方も。
謡曲の特徴は「大きな声を出すこと。正座すること」とおっしゃる方がいました。おなかの底から声を出し、正座をして背筋をピンと伸ばすので、健康づくりにもいいそうです。皆さん、本当に大きな声を出されて、お元気でいらっしゃいました。 「結婚式や宴会で知り合いが謡うのを見て、自分も始めた」という方もいらしゃるようです。ちょっとしたきっかけが、今の大きな楽しみにつながっているわけですね。
また「何となく始めましたが、面白いから続いているんでしょうね」という方も。なかには、川崎能楽堂で謡をお披露目された方もいて、上達すると能の舞台に上がるのも夢ではないようです。
「もし、能や昔の物語を知りたいと思ったり、大きな声を出してみたいと思う人がいたら、おすすめの習い事です。一度トライしてはみませんか」と、参加者のお一人がおっしゃっていました。

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